退院するときの話
4カ月くらい入院されたでしょうか。
退院前に面会に行った時には、とても落ち着かれていてニコニコされていました。
担当の看護師さんからも、「とても所作がおきれいで、入浴の時などはきれいにお洋服を畳まれたりとお手本のような方ですね」と言われました。
でも、退院後はさすがにもう一人暮らしはできません。
娘さんが一緒に住むと言われるので、その段取りをすることになりました。
娘さんの家の近くのデイサービスとショートステイ先を探し、行くことになりました。
が、無理でした。
認知症の方って、対応が上手なところとそうでないところで、本人の状態が大きく変わるんですよね。
この頃から、排泄に失敗が多くみられるようになっていきました。
また別のデイサービスとショートステイ先を探しました。
ここはがんばってくれて、なんとかデイサービスには通うことができました。
でも、ショートステイは難しかったし、お風呂もデイサービスでは入ることができなくて、娘さんが自宅で入れていました。
いよいよ施設を探します
月に一回は必ず訪問をしていましたが、訪問をするといつもニコニコで出迎えてくれて、その辺にあるものを何でも私にくれようとしてくださっていました。
でも、退院して半年もたたないうちに、娘さんがみるみる痩せていってしまったんですよね。
やっぱり、排泄の失敗と入浴の手伝いが大きな疲労に繋がっていたようです。
おまけに、フラッと歩いて外に出ることも多くなってきていると聞きました。
「大丈夫!」とは言われるんですが、大丈夫ではないと判断し、お話をして施設を探すことにしました。
認知症の方って、今から何をされるのか理解できなくて、怖くて怖くて手が出る方がいます。
この方もそのタイプでしたので、施設探しはちょっと大変でした。
でも、ここの施設の職員さんたち、すごーく頑張ってくださいました。
今思い出しても頭が下がります。
特にお風呂ですね。
男性職員含む三人がかりで脱衣所にお連れして、イヤだイヤだというのを、なんとか洋服を脱がせてお風呂場に連れて行ってくれていました。
95歳で女性でやせ型の方でしたが、力は強いし、足も丈夫だしなかなか大変な作業だったと思います。
脱衣所までが大変で、お風呂場に行くと落ち着いて、自分で身体を洗うこともできたようなんです。
たぶん、脱衣所まで行っても何をされるかわからないまま洋服を脱がされるのが怖くて抵抗するけど、お風呂場に行くとお風呂なんだなと理解ができて落ち着かれていたんだと思います。
また、日中も「家に帰りたい」という願望が強くて落ち着かないところを、あの手この手で落ち着かせてくれていたみたいで、本当に助かりました。
でも、やっぱり精神的に落ち着かない日々が増えてきて、再度入院をされることになりました。
入院後のこと
入院をしてから3日後、腹痛を訴えられ救急搬送で大きな病院に運ばれました。
腸捻転だったみたいです。
それも壊死寸前だったとか。
施設で精神的に落ち着かなかったのは、お腹が痛かったのが原因だったのかもしれないねと施設の方とも話をしました。
でも、会話が難しい方でしたし、腹痛の訴えもなかったので発見するのは難しかったと思います。
高齢の方は、痛みに鈍くなる傾向があると聞いたことがあります。
それから徐々に回復されましたが、入院前のように歩くことはできなくなられました。
なので、大きな病院から、【介護療養病棟】のある病院へ転院されました。
面会に行くと、こんなに認知症がひどいのに私のことは覚えてくれていて、ニコニコしてくれます。
すごくいい病院で、いつ面会に行っても身なりをキレイにされていました。
最期の時
ある日、娘さんから電話があり、「もう亡くなるかもしれない」と言われました。
急いで病院に駆け付けたんですが、ほんの数分前に息を引き取られたところでした。
あとちょっとで会えたのに、待ってもらえなかったのは残念でしたが、この方らしいなとも思いました。
冗談がお好きで、いつもケラケラ笑っている方でしたので(* ´艸`)クスクス
この方にも、本当に色々勉強をさせてもらいました。
在宅で生活することの難しさも、どうにか努力すればギリギリまで在宅生活ができるんだということも、ご家族とのかかわり方も教えていただきました。
いい経験をさせていただき、感謝しています。


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