前回は、施設での看取りケアの流れを紹介しました。

施設でお看取りをしていると、「あぁ、この方らしい最期だったな」と思う瞬間があります。
今回は、そんな印象の残っている方の最期を少しだけ紹介させてください。
息子さんが面会に来て約5分程で呼吸が止まった95歳女性
看取り期に入る前から定期的に面会に来られるし、面会に来たら親子で楽しそうにお話している姿を見ていて、すごく仲のいいお母さんと息子さんでうらやましいなと思っていました。
看取り期に入ってからは、息子さんが一日おきに面会に来られていました。
息子さんがくると、本人はにっこり笑って少しお話ができるし、食事も介助で少し食べることができていました。
数日前から少しずつ状態が悪くなっていて、逝去される当日は「なんか今日は早く行った方がいいと思って早く来ました!」と言われ、8:00頃にいつもどおりお母さんの部屋に面会に行かれたんです。
面会に行かれて数分後にナースコールが鳴って施設の看護師が行くと「息をしてない気がする」と言われます。
看護師が確認すると、確かに呼吸が確認できず、すぐに訪問看護に連絡をして主治医にも来てもらいました。

家族が面会に来ているときに呼吸が止まり、そのまま逝去されることはあまりないことなので、お母さんは息子さんが来るのを待って逝かれたんだと思います。
穏やかな表情を見て、親子の絆ってすごいなと感じた瞬間でした。
亡くなる直前まで冗談を言われていた92歳女性
結婚もしていないし、子供もいない天涯孤独な女性でしたが、美人でお話がすごくおもしろくて、いつも冗談ばっかり言ってみんなを笑わせてくれる方でした。
身元引受人は姪の子供さんで、看取りの同意書もその方にいただいていました。
看取り期に入ってからは身体は思うように動きませんが、口は達者で、亡くなる数分前にも「あんたのことは好きだけん100円やるわ」なんて、私に冗談を言われてたんです。
亡くなった後のお顔も笑顔で血色がよく、葬儀場の方がお迎えに来られた際も「本当にこの方で間違いないですか?」と確認をされるくらいきれいなお顔でした。
そして、姪の子供さんがご葬儀の後の挨拶に来た時にお菓子を持ってきてくれたんですが、その時の熨斗に「お祝い」と書かれてたんですよ( ´艸`)

普通、熨斗には「お礼」って書いてあることが多いんです。
亡くなったのに「お祝い」って…
最期の最期まで、みんなを笑わせてくれる方でした。
まとめ
看取りケアと一言で言っても、本当にお一人お一人違いますし、個性豊かです。
マニュアル通りになんていったことがないです。
人生の集大成が、最期の時にでているなとお見送りをするたびに感じるんですよね。
看取る家族は寂しいし、悲しいし、何かしらの後悔が残ると思います。
でも、旅立つみなさんは、家族と離れるのは寂しいけど、少しずつ準備をして覚悟ができているような気がします。

私は、ケアマネージャーとしても、施設長としても、少しでも本人やご家族の気持ちが軽くなるような寄り添い方ができればいいなと日々思っています。



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