【ケアマネ体験談④後編】86歳で一人暮らしをする写真家のおじいちゃん|すべての介護保険サービス拒否から受け入れまでのお話

ケアマネの現場から

住宅改修を設置するまでの道のり

住宅改修の見積もりを取るために、私と福祉用具の方と大工さんとお邪魔しました

ご家族、ご本人ともお話をして、玄関と脱衣所とお風呂場の中と、段差があるところの柱に手すりをつける予定です。

本当は、福祉用具の方と大工さんだけで訪問してもらってもよかったんですが、この方の場合は私もついていきたかったので時間を合わせてついていきました。

ついていかないと、家に入れてもらえない可能性がありますのでね

お邪魔してご挨拶したら、大工さんと福祉用具の方は黙々と部屋の間取りを見ていき、手すりの位置を確認していきます。

ちなみにこの方、T字杖を使って歩くことができます。

歩行器は必要ないくらいでしたが、ふらつきはあります。

私は大工さんたちが頑張っている間、本人と色々お話をしていました。

まぁ、変わらず写真のお話ばっかりですけど、この時点でだいぶん打ち解けていました。

ちなみにこの記事のトップにある画像、この方とそっくりです笑

見積もりができてから数日後に再度福祉用具の方とお邪魔しました

お邪魔して、見積もりを見て頂いた途端、「やっぱり工事はせんでいい」と言われます(;・∀・)

理由を聞くと、「せんでいいと思ったから」と特に理由はないご様子・・・

想定内です笑

一緒に手すりをつける場所を歩いて回り、説明します。

やっぱり歩行状態は良くなくて、段差があるところでフラッとされます。

それを本人がわかってくれて、やっと手すりをつけることに了解をもらえました。

いざ、住宅改修工事の日

その後は、福祉用具の方が区役所に申請をしてくれて、3週間後くらいに申請の許可が下りたので工事の日取りを決めます。

工事当日は、私は終わるくらいの時間に見に行きました。

バッチリ工事ができていて、本人もニコニコされていたのでほっとしました。

ヘルパー(訪問介護)を提案しました

長女さんのご主人が月に一回訪問してお買い物などをしていたと聞いていたので、ヘルパー(訪問介護)を提案しました。

ヘルパーに関しては、意外とスムーズに受け入れてくれて翌週から週2回ヘルパーさんで、買い物、掃除、料理をお願いしました。

この方、偏屈だけどやっぱり寂しかったんですよね。

ヘルパーさんたちは、本当にいい方が多くて、しっかりお仕事をしながらお話相手もしてくださいます。

すごく喜ばれていました。

次はデイサービスの提案です

デイサービスに行って、誰かと話をしたり運動をしてほしいし、安全な環境でお風呂にも入ってほしいと思いました

本人に、デイサービスはこんなところですよって話をしました。

最初は「行かない」って言われます。

ですよね(-_-;)

色んなデイサービスを提案しまして、その中で唯一見学に行ってもいいと言われたのが、私がいる同じ会社の同じ建物の中にあるデイサービスです。

できれば、お風呂も入ってほしかったので一日型のデイサービスと、運動がメインの半日型のリハビリ特化型デイサービスの両方を見学に行ってもらいました。

デイサービスの見学の結果

見学当日はタクシーで来られましたので、私とデイサービスのスタッフでお出迎えをしました。

スムーズに見学を終え、お話をしたところ、「通ってもいい」って言われました。

なので、一日型のデイサービスを週2回、半日型のリハビリ特化型デイサービスを週一回で予定を組みました

そして、気が変わらないうちに担当者会議を開いて、翌週からデイサービスに行けるように調整をしました。

やっぱりデイサービスに行きたくないと言われます

2回くらい通われましたが、電話がかかってきて「やっぱり行きたくない」と言われます。

時間があったので訪問して、お話を聞きました。

一日デイサービスにいるのがイヤだし、お風呂は家で入りたいと言われます。

認知症はない方でしたので、言われることもわかります。

なので、半日型のリハビリ特化型デイサービスを週2回にしませんか?と提案をして渋々受け入れてくれました。

お風呂は家で安全に入れるように、ヘルパーさんでの一部介助と見守りをお願いして調整しました

これも上手にヘルパーさんが誘導してくださるので、問題なく入浴ができました。

半日型のリハビリ特化型デイサービスに通い始めてからの変化

半日型のリハビリ特化型デイサービスは、長嶋茂雄さんが使っていたマシンが入れてありましたし、理学療法士が3名ほどいました

理学療法士がいるので、徒手と言われる運動前のマッサージもあるし、マシンで筋力を鍛えることもできますし、歩行訓練もしてくれます。

デイサービスにしては、すごくきめ細かいサービスだと思います。

でも、この方、これはどうでもよかったんですよね。

なんで通うと言われたかというと・・・私に会えるからです(*^▽^*)

デイサービスに到着した時に「おはようございます」と声をかけに行くと、わざとふらついて転ぼうするフリをして私に構ってもらおうとしたり、一人でデイフロアから出て私の事務所に来たりされてました。

デイサービスの入り口の廊下を挟んだところが、私がいる事務所だったから、私が事務所にいるかどうかわかっちゃうんですよね。

あの偏屈じいちゃんはどこに行ったんだと思うほど懐かれました

失礼ながら、かわいいなとおもっちゃいました(´艸`*)

でも、そのおかげでちゃんとデイサービスに通うことができて、運動もできたので少しずつ下肢筋力はついてこられましたよ。

何歳になっても、頑張って運動すれば筋肉はつきます。

写真をデイサービスの廊下に飾りました

玄関からリハビリ特化型デイサービスの入り口までに6メートルくらいの廊下があって、飾り棚があるんですよね。

なので、そこの飾り棚にこの方が撮ったステキな写真を飾ることにしました

モノクロのステキな写真をたくさん撮っておられて、ちゃんと額に入れてあって、それを施設に寄付してくださったんです。

その写真を週替わりで私が飾って、デイサービスに通ってこられる皆さんに見てもらうと、お話も弾むし、本人もデイサービスに通うことが楽しくなったらいいなと思う気持ちもありました。

すごく評判が良くて、本人もご満悦。

写真の説明を他の利用者さんとしている姿も見れたりして、大成功でした。

このステキな写真お見せできないのが、本当に残念です。

そして、このおかげなのか、半年後くらいにはデイサービスにも慣れて、私の事務所に来ることも少なくなっていました

転職を機に担当を交代しました

前にもお話ししましたが、この職場を辞めて今の職場に転職したんですよね。

それを機に、担当を交代することにしました。

この方には、ちゃんと退職をするので後任者に交代することを伝えました

じゃないと、事務所に来る回数が増えてしまうといけないと思ったんです。

すごく寂しそうにされていましたが、「寂しい」とは言われません。

1年半くらいの短いお付き合いでしたが、介護保険のサービスを使いながら、自宅で安心して一人暮らしができるところまでサービス調整ができていたし、私の中では悔いはなく交代することができました。

今後お話をしたり、写真を飾ったりできなくなるのは寂しいですけどね。

その後、この方がどうされたのかはわからないんですが、すごくいい出会いだったなといまでも時々思い出します。

さいごに

介護保険のサービスを使うのに抵抗がある方は多いです。

なんでイヤなのかを聞いていくと、なんとなくっていう方が多いです。

なんとなくいい噂を聞かないとか、なんとなく怖い気がするとか、色んななんとなくがあります。

そこをしっかり聴いて、誤解を解いて、色んな提案をしていくのがケアマネージャーです。

漠然と怖がっていないで、ケアマネージャーに色々とお話をしてくれると、私たちも提案をしやすいし、もっと介護が楽になります。

悩んでいる方がいて、相談するところがない方は、私にコメントを頂いたらご相談に乗ります。

お気軽にコメントくださいね。

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