はじめに
96歳なのに、認知症はないし、パソコンは使うし、趣味もたくさんあって、株でめちゃくちゃ儲かってるし笑
寝るのが惜しいが口癖でした。
年相応に身体は動かなくなっても、こんなに楽しく生活できるんだなとたくさん勉強させてもらった方です。
96歳のスーパーおばあちゃんの紹介
96歳にして、パソコンを使って株取引をしている、一人暮らしの要介護1の方を担当したことがあります。
出会った時が96歳だったんですが、パソコンを使われるんですよ。
衝撃でした・・・
物忘れはほとんどないんですが、歩行状態が悪くて要介護1でした。
耳はすごく遠いです。
対面だと大きな声で話をすると会話は普通にできます。
でも、電話だと難しいんですよね。
これは高齢者の方あるあるだと思います。
私が訪問をしているときにも、証券会社の方から電話がかかってきて「売り時ですよ」とか「買いませんか」とか電話がかかってきて株の話をされるんです。
でも本人は、聞こえないもんですから「はいはいはいはい。わかりました。はーい。」と言ってわかってないのに電話を切られます笑
株のほかにも、絵もとても上手だし、習字も段を持っていてプロ級。
他にも、俳句に染め物とか七宝焼きとか全部がプロ級に上手な方でした。
難しい本がたくさんあって歴史の研究もされていました。
55歳で好きなことをしたいと思って、教師を辞めて、色々な教室に通ったと言われていました。
『上手ですね』というと、『当り前よ。私は習うのにお金かけたからね。』と。
習ってもみんながここまで上手にはならないと思うんですけどね。
それから、出汁を取るためにいりこを粉末にしたものとか、調味料も全て手作り。
株で儲かっているので、お金には不自由されていませんでしたが、『無駄なものにお金を使いたくない。必要なものだと思ったらお金はいくらでも出す。』を徹底されていました。
躾とか作法とかにもとても厳しかったですね。
私も何度か叱られました。
玄関を開ける前にコートは脱いで、裏に返して持ち込むこと。そうしないと人様の家にホコリを持ち込むことになる。とか
茶碗を洗ったらこうしなさいとか、お掃除のときはどうのこうの・・・”(-“”-)”
色々大切なことを教えてもらいました。
介護保険の利用はこうでした
しっかりはされていますが、96歳という年齢から自宅でお風呂に入るのは怖いということで、週二回デイサービス、足腰が弱って床掃除やトイレ掃除ができないので訪問介護も週二回利用されていました。
後は歩行器や手すりなどの福祉用具と、住宅改修もしました。
話は変わりますが
みなさん共通して手すりをつけることに「いらない」と言って一度は拒否をされます。
でも、つけるととても喜ばれます。
玄関、トイレ、ドアの近く、自宅でお風呂に入る方は浴室や洗面所など、とても転倒のリスクが高いです。
みなさん気づいてないけど、そこを出入りするとき、必ず手すりじゃないどこかに掴まってます。
なので、転倒してしまう前にケアマネジャーに相談をして住宅改修で手すりを設置することをお勧めします。
話を戻しまして
その他は病気もほとんどされないし、マイペースにきちんとした生活をされる方でした。
ちなみに子供さんもお孫さんもたくさんいらっしゃいまして、みなさんとても優秀でしたね。
本人が絶対に同居はしたくないと言われるので、近所に住む子供さんが毎朝モーニングコールをされてました。
もちろん、お互い一方通行の会話ですが笑
でもこれで生存確認はできます。
家族仲がよく、月に数回は遊びにも来られていました。
腰痛で動けなくなるけど家族の世話にはなりたくないと言われます
一度だけ、腰痛がひどくて動けなくなることがありました。
なんとかトイレだけは頑張っていかれていましたけどね。
家族には絶対頼りたくない!と本人が言われるので、食事は宅配弁当を頼むよう手配したり、ヘルパーをその時期だけ増やしたりと色々サービス調整をしました。
家族も心配で来られるんですが、本人が大丈夫と言い張るので手を出さずに帰られます。
最小限で様子を見に来られていました。
長女さんも手伝いを拒否されるので困っていましたね。
でも、本人としては娘にお世話をしてもらうことに対して、母親のプライドが許さなかったんだと思います。
気持ちはわかりますよね。
1週間くらいで動けるようになったので、なんとかサービスで乗り切りましたが、この時は本当に心配しました。
この方の月一回の訪問は3時間かかります
この方の訪問は、毎回半日(3時間くらい)かかっていました。
普通の方の訪問の時は、30分程度で終わるんですけどね。
今でも色々と思いだしますが、本当にいっぱい色んなお話をしてくれて、私の話も興味津々で聞いてくださいました。
あなただけに言うんだけどねって、墓場まで持っていく覚悟でいた歴史好きがビックリするようなお話も聞かせてもらいました。
そして、必ずお茶とおやつを出してくださるんです。
本当はダメなんですが、私とおやつを食べるのを毎回とても楽しみにしてくださっていたので、ありがたくいただいていました。
そういえば、元気に長生きする秘訣も聞きましたよ。
それは、本人曰く、1本1,000円もするドリンクでした笑
たぶん、私が思うに、このドリンクではなく、何でも自分でするというプライド自信と、なんにでも興味を持つ子供のような心が長生きの秘訣だったと思います。
さよならをする時
3年ほど担当をさせてもらい転職をするときに、本人には辞めることは伝えず、担当を交代すると伝えてさよならしました。
その時で99歳になられていたと思います。
担当を後退しますと伝えたら、結構あっさり「はいはい。仕方ないね。」言われたので、ちょっと寂しかった記憶があります。
転職をした後、この方が通うデイサービスに行く用事があり行ったんですが、そこのデイサービスの方が本人に伝えてくれていたみたいで面会をさせてもらったんです。
そしたら、お手紙とわざわざ京都から取り寄せたお菓子をくださいました。
『辞めるって教えてくれたらよかったのに!あの時もっとお話聞かせてもらえばよかった』
とまた叱られて泣かれましたが、再開できて嬉しかったし、とてもありがたかったです。
それがお会いした最後になりました。
脳の病気になり、100歳を目前に病院で亡くなったと聞きました。
さぼれば錆びるという言葉
その方の自宅の冷蔵庫には、紙皿に筆で書いた【SABOREBA SABIRU】という言葉が張られていました。
【さぼれば錆びる】です。
すごい言葉だと思いませんか?
人生さぼらずに、なんでも一生懸命にしないと、どんどん錆びていくからね。って話してくださいました。
深いですよね。
私も人生さぼらずに、ぼちぼちがんばりたいと思っています。
さいごに
90代後半で、ここまで立派に一人で生活できる方は稀だと思います。
自分で言うのも何ですが、この方はケアマネジャーの私を信頼してくれて、いつでも何でも相談をしてくれていました。
なので、上手に介護保険のサービスを利用して、最後まで自宅で生活ができたんだと思います。
ご本人も、ご家族も、もっともっとケアマネジャーを信頼して、色んな相談をしてみてください。
できることと、できないことはありますが、どうにかできるように頑張ります。


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