【ケアマネ体験談⑦】介護で追いつめられる息子|限界を迎える前に知ってほしい支援の選択肢

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はじめに

息子と母親の二人暮らしは、私たちが想像しているより、深刻な状況になっていることが多いです。

以前書いた記事の息子さんは、割と好きで介護をされていたし、奥さんの協力もあったからうまくいっていました。

今回は、未婚の息子さんと認知症があるお母さんのことを書きたいと思います。

認知症がひどくなって、息子さんと同居を始めました

ずっと一人暮らしだったんですが、認知症がひどくなって、県外にいた息子さん(60代)が仕事を辞めて帰ってきて一緒に暮らすことになったそうです。

一人暮らしの時は、生活保護を受けていました。

でも、息子さんと同居をすることで、生活保護は受けられなくなって、息子さんの収入だけで生活をすることになりました。

息子さんも何十年ぶりの同居で、すごく戸惑っていました。

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お母さんに認知症がなくても、久しぶりに同居するだけで戸惑うと思います。

認知症があると、前のお母さんとは全然違うし、できていたことができないので、すごく困惑されていました。

退職して再就職した息子さんの収入は少なく、生活は厳しい状況でした

息子さんは料理人でした。

60歳を過ぎていたので、再就職をしてもあまり収入はなく、もちろんお母さんも生活保護を受給していたので貯蓄もありません。

でも、男の人って、なかなかそんなことを相談できないですよね。

いつも「大丈夫です。なんとかやっていけています」としかお返事をしてくれません。

その時困っていたのが、見守りができない時間帯に一人で出かけてしまって帰れなくなることと、入浴ができないことでした。

なので、デイサービスとヘルパーを提案したんです。

でも、お話をしていく中で、家のことは自分が頑張るから、ヘルパーはいらないと言われます。

金銭的なことを考えてそう言われたんだと思うんですよね。

要介護2だったので、デイサービスも週3~4回は行った方がいいかなと思ったんですが、2回でいいと言われました。

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この時点では、そこまで認知症の症状も進んでいなかったので、息子さんが言われたとおり週2回のデイサービスのみで計画をたてました。

半年くらい経った頃、デイサービスのスタッフから息子さんから暴言があるようだと聞きました

デイサービスのお迎えの時に、息子さんがイライラしている様子だとか、送って玄関を閉めた後に、大声で怒鳴る声が聞こえると聞きました。

急いで訪問に行って、お話を聴きました。

息子さんは、「洗濯機に食べ残しを入れていたり、オムツ(紙のパンツ)を洗濯機に入れたりしていた時に、大声を出すことがありますが、手は出していません」と言われます

認知症があるので、どこに入れていいのかわからずに、食べ残しも汚れた紙のパンツも、なんでも洗濯機に入れていたそうです。

朝もお母さんが起きるのが遅くて、デイサービスの方を待たせるのが申し訳なくて、イライラしていたと言われました。

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聞いた時は虐待を疑いましたが、お母さんはいつもきれいな洋服を着ているし、食事も料理人の息子さんが準備されていました。

それに痣などもないし、お母さんが息子さんを怖がる様子もないので、一旦様子を見ることにしました。

息子さんには、気持ちに余裕がでるように、ショートステイやデイサービスの回数を増やすことなどを提案しました。

デイサービスは、お母さんも気に入っていて、いつも行くのを楽しみにされていたんです。

そんなことも伝えると、今回はデイサービスの回数を4回に増やして、様子を見ることにしました。

それと併せて、デイサービスのスタッフにも、何かおかしいことがあればすぐに教えてもらえるようにお願いしました。

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この頃から少しずつ、お母さんの家での状況や、息子さんのお仕事のことも聞かせてもらえるようになってきて、やっと信頼してくれるようになったのかなと嬉しくなったのを覚えています。

一年後、徐々に認知症が進行していきます

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一年くらい経つと、認知症が少しずつ進行していて、排泄の失敗も増えてきました。

息子さんがご飯を準備していても、それを自分で持ってきて食べることができなくなっていました。

目の前に準備すると、自分で食べることはできるんですけどね。

そろそろ施設を検討する時期なのかと思い、その話もしましたが、息子さんとしてはまだ在宅で大丈夫と言われます。

ショートステイもお金がかかるので、必要ないと言われていました。

ショートステイについては、↓の記事に詳しく書いています。

なので、デイサービスがない日にはヘルパーを入れることで、昼食を食べることができるのと、掃除や洗濯もお手伝いができることを提案して受け入れてくれました。

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お母さんと二人きりの時間は、息子さんはとても大変だったと思います

親子なので時には強い口調で注意している姿は見かけましたが、虐待はありませんでした。

すごく頑張っておられたと思います。

そんなある日、自宅で転倒をされ、太ももの付け根のところを骨折して入院されることになりました。

手術をしてリハビリをすることになります。

退院後は施設へ入所、同時に生活保護を申請しました

3ヶ月入院してリハビリをされましたが、元のように歩くことはできなくなりました。

息子さんの家に戻ることはできないので、施設に入るしか選択肢がありません。

でも、問題はお金です。

以前も生活保護を受けておられたということなので、施設に入ると同時に生活保護の申請をすることを提案しました。

この方もそうですが、国民年金しかかけていなかった方は、若いころに一生懸命働いていても、多くても月に6万円くらいの年金しかありません。

この方は、月に3万円程しか年金がありませんでした。

施設に入るには、それでは足りませんので、生活保護を申請するしかない場合があります。

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いくら親子でも、お母さんの生活と息子さんの生活は別です。

冷たく感じるかもしれませんが、子供が無理をして親の生活を支えることで、親子で共倒れになるのが目に見えてますから。

私はいつも、ご家族にそう伝えています。

まずは入院中に生活保護課に相談に行ってもらいました。

同時に施設を探して、入所する日(退院日)と同じ日にその施設に住所を移します。

それと同日に、生活保護の申請をします。

生活保護は、申請日から適用になるので、この流れで手続きがスムーズにできたので、息子さんの負担はありませんでした。

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行政によっては、有料老人ホームに入る場合には、生活保護が受給できないところもあるようです。

また、生活保護を受給するための条件などは、生活保護課に早めに相談することをお勧めします。

ケアマネジャーにも相談してくださいね。

その後は、その施設のケアマネジャーに担当を交代したので、どうされているのかはわかりません。

幸せに過ごされていればいいなと、心から思います。

さいごに

このケースの息子さんとは、信頼関係を築けるまでに時間がかかりましたし、本当に信頼関係が築けていたかは今もわかりません。

息子さんと言っても私より歳上なので、ケアマネジャーとはいえ、なかなか相談しにくかったと思います。

bon
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少しずつではありましたが、息子さんに信頼してもらって、お話ができるようになって、できる限りのお手伝いはできたかなと思いますが・・自信はありません。

最後の日に息子さんから、「本当にお世話になりました。いつも助けてもらった御恩は忘れません」と言ってもらえた時には少し救われました。

親子の関係性は色々ですが、全部を自分が背負う必要はないと思っていてください。

子供さんの生活が幸せでないと、親も幸せではありませんよ。

ケアマネジャーは介護保険のプロですので、なんでも相談してください。

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