はじめに
認定調査では「どんなことを聞かれるの?」「家族が同席してもいいの?」「準備するものはなに?」など、色々と不安になると思います。
実際にどんなふうに進むのか、事前に流れを知っておくと安心ですよね。
この記事では、ケアマネジャーとしての経験をもとに、介護保険の申請から調査の流れについてわかりやすくご紹介します。
申請書はどこでもらえる?家族が申請しなきゃいけないの?
介護保険の申請は誰がしたらいいの?
介護保険の申請は、本人はもちろんご家族でできます。
そして、ケアマネジャー、地域包括支援センターの方、介護保険施設の職員に代行で手続きをしてもらうこともできます。

地域包括支援センターは、お住いの小学校区に一か所必ずあります。
地域住民が、福祉のことを相談できる機関です。
区役所に電話をして「私が住んでるところの地域包括支援センターの連絡先を教えて」と言えば教えらもらえますよ。
ケアマネジャーに相談したいときは、インターネットなどでよさそうだなと思った『居宅介護支援事業所』に電話で問い合わせをしてみると相談に乗ります。
ケアマネジャー、地域包括支援センターの方は、無料で相談に乗りますし、申請も代行します!
代行で申請するにあたって、色々と今の状況とかを聞くことになりますが、そこは、協力してくださいね。
でも、無料で相談と申請をしてくれるので、心強いと思います!
ぜひ活用してください。
家族や本人が申請する場合、申請書はどこでもらえるの?
もし、ご家族で申請する場合、申請書はインターネットから手に入れることもできます。
【介護保険 申請書 〇〇市】と、お住いの市区町村名で検索すると出てきます。
それか、お住いの市区町村の介護保険を扱っている窓口でもらうこともできます。

介護保険を扱っている窓口でもらったら、その場で申請書を書く手伝いをしてくれるので、心配な方はそうしてもいいかもしれないですね。
相談するのが恥ずかしいとか、面倒くさいとか、敷居が高いとか思っている方も多いと思います。
でも、申請しないと介護保険は利用できませんので、がんばってください!
申請書の他に、訪問確認調査票をセットで提出する必要があります
介護保険の申請をする時は、申請書だけではなく、訪問確認調査票も一緒に提出します。
どちらも、インターネットからでも窓口でももらえます。
これも、地域包括支援センターやケアマネジャーに代行でお願いしたら、セットで全部書いて提出してくれます。
訪問確認調査票は、行政によって呼び方が違うかもしれません。
ご家族や本人が申請する時は、介護保険の窓口に「介護保険の申請に必要な書類をください」というとセットでくれるはずです。
申請書を出すときは、主治医を誰にするのか決めておくことが必須です!
申請書には、本人の情報とかかりつけの主治医の情報(病院の名前や住所、主治医の名前等)が必要です。
なぜかというと、介護度を決める審査会の時に、主治医の意見書という書類を書いてもらう必要があるからなんです。
※主治医の意見書は、申請をしたら行政からその主治医あてに郵送されます。
■今かかりつけの病院がない方
・申請の前にどこか病院に行ってください。
・「今度介護保険の申請をするので主治医の意見書を書いてもらえませんか?って伝えてください。
■かかりつけの病院がある方
・申請する前に病院に行って「申請しますので、主治医の意見書を書いてください」って主治医に伝えてもらえると、先生も助かると思います。
主治医の意見書を書いてもらう先生を選ぶ時のポイント
申請をする理由によって意見書を書いてもらう先生を決めてください。
認知症の進行であれば認知症が専門の精神科や心療内科等の先生がいいと思います。
内科でもしっかり認知症が見れる先生もおられますけどね。
足が痛いとか腰が痛いとか歩けないとかであれば、整形外科の先生がいいと思います。
申請をする理由になった病気の専門の先生に書いてもらわないと、実際の調査の内容と、先生の意見書がちぐはぐになってしまって、介護度が軽く出てしまうこともあります。
もし、

認知症と歩けなくなったということの二つに困って申請しようとしている場合は、より困っている症状の主治医の先生にお願いしましょう。
そして、先生に主治医の意見書を書いてくださいとお願いするときに、「他にもこういうことで困っています」ということも伝えるといいですよ。
家族や本人が申請する場合の、訪問確認調査票の書き方解説
訪問確認調査票は、訪問する際に行政が確認したい基本的なことが書いてあります。
例えば
・駐車場があるか?
・都合が悪い曜日はあるか?
・訪問調査の日程調整をする時の連絡先はだれか?本人だけで調査ができるか?立ち合いは必要か?
・今困っていることは何か?
という基本的なことなので、わかる範囲で書けば大丈夫です。

今困っていることは何か?という今の状況や身体や認知機能の状態を書く欄もあるので、そこは今困っていることなどをしっかり書くいてください。
例えば「家族に対して私のお金を取っただろうと頻繁に言う」とか、「転ぶことが多くなった」とかですね。
申請書も訪問調査確認表もケアマネジャーなどに頼む場合はいいと思いますが、ご家族が申請する場合は書き方がわからないこともあると思います。
その時は、窓口に行って行政の方に聞きながら記入するといいと思います。
申請が終わって認定調査までの流れと注意点
まずは、認定調査の日程調整の電話がかかってきます

申請をしたら、約1~3週間の後に日程調整の電話があります。
行政の方で日程を決めてきて、「〇日の〇時頃訪問に行きますよ」ということを言われます。
ケアマネジャーや地域包括支援センターに代行で申請をしてもらう場合も、日程調整は基本的にご家族にしてもらうことが多いです。
(ケアマネジャーに日程調整をお願いすることもできます)
行政が決めてきた日程で都合が悪ければ日程は変更してもらえます。
でも、変更する場合、調査日程が遅くなるので、結果が出るのも遅くなってしまうので注意してください。
行政の人が調査員なので(委託されたケアマネジャー等が行く場合もあります)、土日祝日は調査はしません。
どうしても平日になってしまうし、調査をするのも午前中に2人まで、午後からは1人だけという決まりがあるようなので時間の融通がききません。
でも、これは仕方ないですね。
認定調査の日はできるだけ家族が立ち会った方がいいですよ
調査の日は、できるだけご家族が立ち会ってください。
なぜかというと、だいたいの高齢者のみなさんは調査の時、普段よりすごーく気合が入るし、がんばります!
普段はできないのに、サササっと歩いたり、いつもはわからないのに、調査の時には自分の年齢や今日の日付が言えたり・・・
結果、介護度が思ったより軽く出やすいからです( ̄▽ ̄;)

私はケアマネジャーとして、調査の時に立ち会います。
行政によっては、ケアマネジャーが立ち会うのを嫌がるところもありますけど
立ち会って、きちんと情報を伝えるようにしています。
ケアマネジャーによるとは思いますが、心配であれば調査に立ち会ってもらえるように、申請をしたケアマネジャーにお願いしてもいいと思いますよ。
ちなみに調査に立ち会うのも無料です(⌒∇⌒)
認定調査の時の準備物や調査員さんから質問される内容は?
認定調査の時に特に準備するものはありませんので安心してください。
はじめに、調査員が本人に色々とお話を聞かれます。
口をはさみたくなる場面もあると思いますが、そこはぐっと我慢をして本人が答えるのを聞いていてくださいね。
本人への質問が終わったら、ちゃんと本人がいないところで家族の言い分を聞いてくれます。
最初に認知機能の確認の質問をされます
まずは、認知機能の確認のために、名前や生年月日、年齢など、基本的なことを聞かれます。
そのほかに、食事は何時に食べますか?などの毎日の日課や、今日の日付、今の季節などを聞かれます。
あとは、3点確認と言われる、短期記憶の検査をされます。
だいたい、【ペン、時計、調査員さんが持っている紙】等、3つの品物をだされ「これを覚えておいてください。後でもう一度何があったか聞きます。」と言われます。
そしてしばらく時間を置いた後、3つのうちの2つをだされ、「あと一つは何だったでしょうか?」という質問をされます。
これが、3点確認と言われるものです。
認知機能の質問に関しては、その場で取り繕ったり、ごまかしがきかなことが多いですね。
身体の機能についての質問です
質問の内容は、洗顔は自分でしてますか?、歯磨きは?、お風呂は?、トイレは?などという日常生活での基本的な動作が一人でできているのかどうなのかを聞かれます。
ここは、ご家族が本人は何と答えたのかを聞いておいてください。
結構、家族に手伝ってもらわないとできていないこともすました顔で「できてます」と答えられる方が多いです。
調査員さんの中には、本人が言ったことを鵜呑みにして、ご家族に確認されない場合もあるので、違うことは後からきちんと訂正してくださいね。
身体の動きを実際動かしてもらって確認します
調査員さんが、足を動かしてくださいとか、手を動かしてくださいと指示を出して、その通りに本人に動いてもらいます。

この時、普段は痛くて動かせないって言っている方も、がんばってスムーズに動かすことができたりするんです
ここもチェックして、後で調査員に訂正を入れてくださいね。
今日はがんばっているなと思いながら見ていますが、きちんと訂正をしないと、普段から歩けているとみなされますので注意してください。
認定調査の時に家族が注意すること、調査員に伝えるべきことを抑えておいてください
本人にある程度質問をした後、ご家族やケアマネジャーに、本人がいないところで事実確認をされます。

もし、家族の話を聞こうとしない調査員さんがいたら、話を聞いてもらえるように引き留めてくださいね。
↓下の記事も参考に読んでみてください↓
調査員さんには、本人が日常生活でできていること、できないことを伝えた際、家族が手伝っていることがあればしっかり伝えてください。
身体の機能でも、いつもはできないのに、今日はたまたまできていることがあれば、それも伝えてください。
後は、【問題行動】と呼ばれる、認知機能の低下による困ったことを15項目聞かれます。
・物を取られるなど被害的になる
・作話をする
・泣いたり、笑ったりして感情が不安定になる
・昼夜の逆転
・しつこく同じ話をする
・大声を出す
・介護に抵抗する
・家に恵右などと言って落ち着きがない
・一人で外に出たがり目が離せない
・いろいろなものを集めたり無断で持ってくる
・物を壊したり衣類を破いたりする
・ひどい物忘れ
・意味もなく独り言や独り笑いをする
・自分勝手に行動する
・話がまとまらず、会話にならない

問題行動は、エピソードがあると調査員さんに伝わりやすいです。
例えば、【いろいろなものを集めたり無断で持ってくる】に関して言うと、「リビングにあるティッシュペーパーをこっそり自分の部屋にもっていって、気づいたら何十枚もベッド周りに隠していました」とかです。
【しつこく同じ話をする】で言うと、「私の通帳はどこにやったかな?だれか持って行ってない?と何度も繰り返し聞きます」とかですね。
それも、その行為が週何回あるとか、月何回あるとか、頻度も伝えられるようにしていた方がいいです。
認定調査の前に、その時に困っていることをしっかり調査員さんに伝えてください。
認定調査から結果が出るまでおよそ1ヶ月かかります
調査が終わったら、認定調査員さんの報告書で一次審査をします。
その後、一次審査の結果と主治医の意見書と併せて二次審査(審査会)が開催され、結果を出されることになります。
調査の日からだいたい1か月程度かかります。
行政によってはそれ以上かかる場合もあります。
結果は郵送で介護保険証が送られてくるので、それを見てくださいね。

ちなみに、ケアマネジャーは、審査会の日程を事前に確認して、審査会の翌日に区役所に行くと確認できるので、郵送されてくる前に介護度を知ることができます。
まとめ
介護保険は、申請から結果が出るまで、だいたい1か月半以上かかります。
申請をしなきゃと思うとすごーく面倒くさいですよね。わかります。
でも、これをしないと介護保険は使えませんので、ぜひ近所のケアマネジャーを頼ってください。
また、認定調査は、あくまで『普段の様子』を知るためのものです。
立ち合いをされるご家族は、正直に、冷静に状況を伝えるのがポイントですよ。
よくある質問
Q1.介護保険は、結果が出るまで利用できないの?

介護保険は、申請をした日から利用できます。
介護保険の結果が出る前にだいたいの介護度を予想して、サービスを使い始めることもできますので安心してくださいね。
Q2.認定調査にケアマネジャーが立ち会わないこともある?

どうしても日程調整ができないときは、立ち会わないこともあります。
でも、きちんとした調査をしてもらえるようにできるだけ立ち会うようにしています。
Q3.結果に納得できないときはどうしたらいい?

まずは、ケアマネジャーに相談してください。
ケアマネジャーからみても結果がおかしいと思った場合は、「不服申し立て」をすることができます。
また、場合によっては、その介護度のまま様子を見て、数か月経ってから「区分変更申請」をすることもあります。
もし、悩んでいる方がいるなら、コメントでご相談を受け付けます!
お気軽にコメントください(⌒∇⌒)



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